恋心をトリガーに、封印してきた壮絶な過去の思い出に立ち返り、現実とのほどよい融合と未来へと向かう物語。これのどこに、新海誠氏特有の「犠牲」「人柱」が存在しているかと言うと、猫。猫を犠牲にしましたね、許せん。新海誠氏が無類の猫好きでなければ万死に値する。
note 「「銀紙が私の宝物です」という彼女の声を僕は何度も再生した 」 → こちら
主人公はずぶ濡れの猫を助けて煮干しを食べさせながら、かわいいと思う。「ね、うちの子になる?」と声をかける。主人公は母の妹(叔母)に「すずめ、うちの子になろう」と言われて抱きすくめられている。のだけれどそのあとの主人公の猫への接し方は完璧にそして最後まで児童虐待そのものだ。共感してくれる人いるかなぁと検索してみたところおられた。Yahoo!JAPAN知恵袋「猫好きの私からするとダイジンが可哀想で仕方がないです。」( → こちら )←「人間のエゴでしかない生贄の猫です、グロテスクなストーリーだと思います。」との回答あり。これ、ダークファンタジーだ。
3年前の公開、テレビ放映からも1年半経ってようやく視聴した。のだけれど、事前ネタバレがないとしても、映画の最初の場面で、すでにネタバレしている(はず)なのに。我ながら不思議なくらいネタバレしておらず、最後に東北に向かって初めて気が付いた。テレビで「逃亡者」をやってるの録画ではあるけれどほぼリアタイして久々に映画が観たくなった。けれどアニメが観たい。という変な欲望を満たしてくれたのがこの映画と、続く宮崎駿氏の「君たちはどう生きるか」だった。双方とも今まで全く食指が動かなかった。
この映画、思い出そうとするだけでも息の詰まりそうなあの災害をまっこうから取り上げているだけでも尊い。最後、そうくるか、と感動した。絵もすごい迫力なので映画館のほうが楽しめたと思う。けれど、いかんせん、劇伴がしょっぱなから盛り上げすぎでうざい。こういうことをされると、どこに向かって気持ちを盛り上げていけばよいのかわからなくなる。まるでTBSの日曜劇場、半沢直樹だ。そして猫への仕打ち。この主人公、自分の子供を人身御供に差し出したんだよ。それから、草太が人生に絶望していた話なんてもともとどこにもないじゃんね。それを死にたくないと悲痛の訴えに私、何を説得されていたんだか。健康な人なら誰だってそうだわ。代わりになると言った主人公に絆されて身を差し出した猫(進んで親の犠牲になる被虐待児)のことを考えたら頭が冷えてきて、やっと気が付いた。
ダークファンタジーとしての猫たちではなく「すずめの戸締り 仕事と大人」( → こちら )←としての立ち位置だという考察も。そう考えると少し救われるのは確か。草太は「閉じ師」と「要石」の関係を知らされていない可能性があるという考察。意味深長。
以下、個人的メモ
「彼女と彼女の猫(1999)」Wikipedia → こちら (未視聴)初期衝動そのものとのこと
「ほしのこえ(2002)」の主人公「ミカコ」 犠牲を受け入れて公を守る 初期衝動の延長だけれど自分が作ったんじゃない感、自分でなくても作れた感
「雲のむこう、約束の場所(2004)」のヒロイン「サユリ」 個の犠牲を否定 → 「君の名は。(2016)」
「秒速5センチメートル(2007)」の主人公。弱者故犠牲となる。立ち直るのに13年犠牲にする 新海誠監督の素ともいえるかも
「星を追う子ども(2011)」
「言の葉の庭(2013)」
「君の名は。(2016)」
「天気の子(2019)」個の犠牲を否定
「すずめの戸締まり(2022)」
note 「【すずめの戸締りネタバレあり感想】これは、「秒速原理主義者〈ラディカル5センチメーター〉」の見つけた「世界の秘密」についての記録だ 」 → こちら
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(20260118追記)
完全不完全、ひずみの物語との素晴らしいレビュー「完全さは垣間見えるもの――「すずめの戸締まり」レビュー&感想」 → こちら
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