2020年01月14日

マイク(MIKE)/母が図書館で見つけて読了、子に勧めてみた/前半だけなら純文の感動だった。後半は不要だったなぁ。

図書館の新入荷の棚にあったので借りてみた。小説らしくない装丁も目を引いた。子に勧めたら内容を聞かれたのだけれど、この本は何も知らずに読むほうが良いような気がしたのでそのように伝えた。面白いことは確かだし、前半だけならば中学生が読めば人生の布石というか灯台になるような気がする。

ということで、内容に触れます(いわゆるネタバレ)。





心理学で言う「投影」を扱っている。多重人格の一歩手前という解釈でも良いのかもしれない。主人公のミドルネームであるマイクと名乗る人物が登場して、主人公に本当の本音を気がつかせる。主人公の本当の本音に気がついている人(のちの妻)には主人公同様にマイクが見える。この設定で前半だけで本が終わっていれば、すばらしい純文学になったんじゃないかな、と思った。私は素人なので本当にそうなのかどうかは断言はできないのだけれど。

ここで終わったほうが良いのではないかと思えた場面はいくつかある。主人公が最後の試合と決めて参加した試合の始まった瞬間とか、ふらりと入ったウォーターワールドで魚の知識を買われてスカウトされる場面で終わるとか。

前半だって豪華なテニス漬けの生活、週に3回も受けられるプライベートな心理面接。精神科医を旅行先から呼び戻す贅沢など、それでなくても一部の天才的な才能あふれる裕福層の話だ。

それでもマイク(投影)が効果的に表れて、意味深いお話が進んでいる。

が、後半からはマイクはもう「投影」ではない。

裕福層の世界が炸裂する。勉強をしっかりしていないのに縁故(推薦?)で大学が決まるとか、海底で沈んだ宝物を見つけてしまうとか。主人公の血統の良さ、血統が引き寄せる幸運、そしてご都合主義でマイクが登場して主人公を大金持ちにしてしまうフィッシュ・ストーリーというかトール・テール。もはや昼メロだ。テレビドラマとか映画化などになった場合に見栄えのよい設定を選んだと思えるような、少々よこしまな発想が透けて見えたのは私だけかな。

マイクの正体が大成功をおさめた主人公(未来の主人公)だという謎解きはたしかに無難な落としどころにも思える。が、そこで終わってしまうとそれこそただのマンガチックなミラクルになる。

好意的に解釈して、将来こうなりたいという自分を明確にして(マイクを自分で創造する)目標に定めるとそうなれるよ、という暗示なのかとも思う。けれど、そうだとしたらマイクが「投影」の結果現れたのだという大前提が崩れる。

面白いかどうかといえば面白かったし、自分の将来を考えるきっかけとしても悪くはないと思ったので、子に訊かれたときには軽く勧めた。けれど、子が自分とのギャップで主人公を突き放してしまい白けてしまうというリスクはあるのだと、後になって気がついた。あとがきに作者、解説に「おおたとしまさ」氏の言葉があり、その点を補強しているようには思う。作者も気にしているし、気になっているのは私だけではなかったんだろうな。

今どきの世の中は、このようなキラキラとした物語しか受けないのかな。もしかしたらそれだから作者も後半を付け加えたのかな?あるいは映像(映画とか)になった場合に絵になるからと考えたのかな?とも思ったり。子がまだ小学生で世の中のことがまだよくわかっていなければ、楽しく読めるんだろうに、と思ったり。


マイク: MIKE
アンドリュー ノリス(Andrew Norriss) /作
最所 篤子/訳
2019/10/3
小学館
20200111_1.jpg

マイク: MIKE (児童単行本)

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posted by kaho at 02:00 | Comment(0) | YA文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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