2018年04月02日

ファオランの冒険6〈果てなき青み〉へ!/約束の地(なのか)へ!戻っていく旅、読了だ〜(泣)


ファオランの冒険6
〈果てなき青み〉へ!
キャスリン・ラスキー
中村佐千江 訳
Richard Cowdrey 絵
2015年1月23日 初版第1刷 発行
メディアファクトリー

THE WOLVES OF THE BEYOND #6 STAR  WOLF
2013 by Kathryn Lasky

最終巻だ。子が目ざとく「ああ!とうとう!」と絶望的な声を上げた。絶望的な理由は、私のためである。こんなにのめり込んだ楽しいシリーズを読み終える「絶望感」を代弁してくれたわけである。

よみにくかった(と個人的に思った)5巻目とは打って変わって、のっけから読みやすい。

5つあった火山のうちの2つが消え、聖ウルフが守っていた石が開放された。骨ウルフたちの欠損が消える。が、生まれつきではないエドメの片目は直らない。当然なのだが。

ファオランの足の裏の渦巻きも消えない。これは不思議だ。が、ファオランは、いままでのように独特の足跡が残らないようにするのではなくて、ことさらに残すようになる。どうせ匂いで自分の所在はバレるのだし。サンダーハートとはぐれたときに見つけた大きな洞窟は、壁画だらけだった。そして、夢に出てくる示唆。呼応するかのようにエドメがファオランに重ねて見る映像。

これらがどのように収束するのか、のっけからワクワクする。

ファオランにだけ見えている西の新天地を目指す本格的な旅が始まる。

ファオラン自身の古とのつながりが導く旅である。が、アバンが新世代らしく新しい絆を作って新たなる群れの導き手となる。

ファオランの実の姉妹の育ての母親カイラと、みんなの宿敵ヒープとの子アバンだ。海に落ちたときに一角獣に助けられる。それを機に海の生き物たちと通じ合うようになる。

また、エドメの宿敵だったはずのバンジャの子マウディがつないだ、金色の蛾ベルズとの絆が最後の決め手となる。

エドメが育てることになった孤児のミルグロッシュは、尾を再び失ったヒープの傷を攻撃して最後の戦いの火蓋を切った。

新しい土地にはバイソンが走り、古の記憶のある馬がファオランを認める。「〈星を読むオオカミ〉が、もどってきた!」と高らかにいななく。

アバン(男の子)、マウディ(女の子)、そしてミグルロッシュ(男の子)の3人と、一角獣やシロイルカ、ツノメドリたち、そして蛾とのつながりが新しい物語を予感させる、ような気がした。

フクロウたちの世界はどうなるんだろうか。一人だけ新天地にやってきたグウィネスはもう年寄りだし、ガフールの神木のフクロウたちは中の国に逃げたらしい。

新天地に向かう一行を空の上からサポートし続けたハクトウワシたちは、ソーレンたちが聖エゴリウス寺院から脱出するのを助けてくれたハクトウワシたちの巣を引き継いだワシたちだった。

最後に合流したラグズは魔女サークに恩を受けたはぐれオオカミだ。

ファオランは西の土地を離れ東に定住した最初のオオカミ、フェンゴの輪廻転生だったらしい。フェンゴは東の土地でグランクに出会う。グランクは国王ラースの幼馴染にして伝説の王フールの養父である。

そして、エドメはフェンゴのつがいである。一緒に東の土地に行くことが出来ずに西の土地でフェンゴを見送った。

フェンゴと別れたその場所に戻ってこれたとき、ファオランとエドメはつがいになる。

こういう複雑なつながりも楽しい。

ところで、大きく見ると旧約聖書の世界が垣間見えるような気がしたのだけれど深読みのし過ぎかな。

エデンの地を追われたものの、せっかく「約束の地カナン」で平和裏に融合して定住していたのに飢饉のために奴隷としてエジプトへの入植をする人たち。力をつけすぎたために警戒され住めなくなり、「約束の地カナン」に戻る人たち。方向はファオランたちとは逆なんだけれど。

方向といえばファオランたちが目指すのは「西」だ。白人たちは西へ西へとひたすら移動していった。

そして、たどり着いたとき、いかにも「おかえりなさい!」と馬に迎えられた、みたいな。

アフリカからエデンの園までは人類みな一緒だったものが、エデンの園からは東と西に分かれる。西に向かった白人はヨーロッパの端までたどり着くと船に乗ってさらに西へ。アメリカに上陸しても大陸を横断して西を目指し続ける。そこからまた船で太平洋を超えて西の果ての日本にまでやってくる。日本を越えて更に東南アジアに向かい、またもやエデンの園をつつきはじめてン十年だ。

ファオランたちが時を越えて移動したのは西から東へ、そして東から西への往復なので、カナンの地とエジプトの関係と真反対なのも示唆的だ。しかも大きく見るとそれとは別の流れである白人たちの大きな流れに呼応しているような気がしてくるわけだ。白人にとっては根源的な、とても大切な伽話なのかもしれない。

洗脳されて子どもを捨てたことのあるファオランの姉妹たちの養母が、実子のアバンの鳴き声に惑わされてまたもや我を忘れる。そんなカイラをかばって命を落とすのがバンジャである。この群れでの唯一の犠牲者である。

バンジャは言ってみればただの骨ウルフ(聖ウルフ)だ。一方、カイラは群れ生え抜きのエリートだ。そしてカイラはリーダーであるファオランの姉たちの養母であり、海の生き物たちと通じ合うアバンの実の親である。洗脳されやすいことを除けば優秀で有能で素晴らしい母親である。が、バンジャが犠牲になる必然性がいまいち飲み込めなかった。カイラが自分の愚かさのために仲間を犠牲にしてしまったことをなんら洞察していないために、気になるのだろうな。マリー・アントワネットと重なって見えた。

また、そのようなカイラと悪の根源であるヒープとの間の子が次代を担うような力を持つアバンであることも気になる。まるで、ナイラの子どもでソーレンの甥であるナイロック(コーリン)の悲劇的な出生を思い出させる伏線である。

「若おかみは小学生!」でも思ったのだけれど、シリーズ物は半年に1回のペースで出るものなのだろうか。有名なゾロリはどうだったっけ?と過去記事を見た。するとやっぱり!半年に一度だ。執筆には半年に1度が良いペースなんだろうか?と想像してみた。実際にはどうなんだろう?

2018年3月現在73歳。作者は70歳前後でこの物語を書き終えたようである。続編、出るかなどうかな。微妙かなぁ。

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posted by kaho at 02:00 | Comment(0) | ファンタジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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