2016年03月11日

アニメ映画「秒速5センチメートル」/こんな抒情的な物語を食い入るように見た子

ネタバレ、注意。

BSプレミアムで新海誠監督のアニメ映画をやっている。3月18日には「ほしのこえ」、3月25日には「言の葉の庭」をやるのでそちらも楽しみだ(2016年)。

なぜか。

母の独断で録画しておいた「秒速5センチメートル」という題名に子が反応し、先日からずーっと、「見たい見たい」とつぶやいていたからだ。そして昨日、珍しくお稽古事の水泳が休みだったので久々に平日ゆっくり過ごした。で、「見ようか」ということになったのだ。

生まれてこのかた、ドタバタ喜劇が大好きな子だった。物語のある番組なんて好きじゃないようだった。定番「トムソーヤの冒険」も、「アライグマ ラスカル」も「アルプスの少女ハイジ」も「フランダースの犬」も、全滅。この子は一生「トムとジェリー」や「ひつじのショーン」、ウォルトディズニーの「ミッキーマウス」などを見ながらテレビの前でゲラゲラ笑って過ごすのだろうか?と少々気になっていた。最近ではそんな番組のラインアップに、落語界の老舗「笑点」までが並んで、いよいよ、本格的である。が、まあ、そんな人生も確かに悪くはない。

が、このアニメ映画「秒速5センチメートル」をじーっと食い入るように見る子の真剣なまなざしを見ていて思い出したのだ。1,2歳のころから子は「となりのトトロ」を繰り返し見た。5、6歳に最後に見てもう何年もなるけれど、10回、いや、20回近く見ただろうか。「となりのトトロ」が公開された当時、私は日頃の寝不足もたたって何度も途中で眠ってしまった。ある日、寝の足りたすっきりとした頭で見たところ、ようやくこれが素晴らしい映画なのだと気がついた(笑)。それから何十年も経てわが子がこの映画にハマるとは、思ってもみなかった。が、子に付き合って十数回も繰り返し見ていると、さすがの私にもこのアニメの深さが少しずつ透けて見えて来る。

今回、子と一緒に見た「秒速5センチメートル」も「となりのトトロ」に似た抒情を感じた。

まずは、映像の美しさだ。光に溢れている。

「東京ってあんな風に綺麗なイメージが確かにあるよね。でも、本当はあんなにきれいじゃないよね。うっすら汚れていて埃っぽいよねぇ」とか言いながらも、映像の美しさに親子で見惚れた。よいテレビを買って大画面でもう一度見てみたい、と切実に思った。映画「ベイマックス」の背景以上に美しいかもしれない。

男の子が転校して東京に来るのが小3。女の子が転校してくるのが小4。現在9歳、今年10歳になる子にとって、このアニメは本当にストライクど真ん中だったのだ。二人して受験して同じ中学に行く予定が、女の子の転校で頓挫する。文通で交流が再開して、男の子が女の子に会いに行くのがわずか13歳のときだ。どちらも家の人にも内緒で電車に乗り、駅に向かう。

13歳。子にとってもわずか3年後である。

場面変わって今度はついこの間まで親子して熱狂して見た「下町ロケット」に関係するようなロケット発射の場面。「下町ロケット」に出てきた若いやり手の弁護士さんが子のお気に入りで、あのドラマを見て以来、「将来は弁護士になる!」などと言い出したくらい、入れ込んでいる。

主人公の男の子もロケットを見ている。

隣に、自分に夢中の可愛い女の子がいつもぴったりと一緒にいるのに。

大学で再度上京。普通に生活して普通に女の子たちともお付き合いして、普通に就職。

SEだ。いくら仕事で消耗したからといっても、やっぱり女の子の方をしっかりと見ていない男の子。退職して独立して、やっと何かがすっきりとしたところで、おわり。

27歳か28歳ごろなのだろうか。自分の力で何かがどうにかなるかもしれない、と気がついて私もそれまでの与えられた環境から逃れて、自分の行きたい方角に大移動をした歳だ。私だけではなかった。この年齢の頃に仕事を辞めた、という人たちが周囲にはうようよいた。20歳で一応成人したとみなされるのだが、精神的な本当の独立は27歳ごろなのではないか?と当時も思ったし、今でも思う。

時間感覚が芽生えて、自分や自分の家族以外の世の中があることに気がつくのが小3か小4の頃。そこから、本当の大人の安定したスッキリとした頭になる27歳ごろまでを、恐いくらいに的確にとらえた映画だったのだ。


私個人的には、男の子の感覚がとてもよくわかった。私も転勤族の子なのだ。しかも新しいところでもすぐになじみ、すぐに友達もできる。でも、いつまでたっても自分の居場所はない、という痛烈な気持ちにドライブされ続ける。男の子は「力が欲しい」と思う。私も思った。そしてこの度こんな風な作品にされて、そんな男の子の周囲にまといつく女の子たちの様子を客観的に見ていて気がついたのだ。私の中にも空洞があり、落としどころを探し続けていて、そのことが人生の最大の目的になっていた時期がある。その頃の私に正面からしっかりと関わろうとしてくれた友達の数々の少し淋しそうな表情に。

時々、そのたくさんの友達一人一人に「ありがとう」と言って回りたい気持ちになることがある。なぜだろうと思っていた。その答えの一端を見たような気もした。

引っ越しを繰り返した人が必ず同じような心理状態になるとは思わない。引っ越しをしなくても、青春時代の不安定さは同じだ。人間が大人になるまでに、人によっては20年近くの、こんなにも不安定で心もとない時期を一人で耐えていないといけないなんて、けっこう酷だと思わなくもない。

あの頃に戻りたいか?と言われたら NO である。

子はこれから、そんな世界に頭から突っ込んでいくのだな。



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下記にリンクした「映画「秒速5センチメートル」に釘付けになった ネタバレ感想」では、小説版を合わせて読むと腑に落ちる、と書いてあった。新海誠監督みずからの小説化。なるほどなぁ。読んでみようかな。


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映画「秒速5センチメートル」に釘付けになった ネタバレ感想 → http://mori-room.com/?p=7066










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