2016年02月20日

銀河鉄道の夜 宮沢賢治/なんど読んでもわからないんだよねぇ、、、とつぶやいた

「『銀河鉄道の夜』を読んでみたんだけど。ねぇ、どういうあらすじなの?アニメとか映画、ないの?わからないんだよねぇ」と言う。どこでどのバージョンの本を読んだのか?何度問うても、はっきりしない。自分の部屋の本棚にあったものを適当に読んだのだ、というような意味のことを言うのだが。いくら探しても、うちには「藤城清治」さんの影絵の絵本しか見当たらないのだ。

少し前のこと。お稽古事の帰り道に夜の静まった薄暗い住宅街を走っているときだった。街頭も少なく、自分のヘッドライトだけが道を照らす。そんな状態で一定の速度で寝静まったような住宅街を突っ走っていると、頭に浮かぶのが宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」だ。子も知っている松本零士の「銀河鉄道999」を持ち出して、あのモチーフは宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」なんだよ、というような話をしたような気がする。

そもそも、そんな話になったのは子が「活版印刷」なるものの話を持ち出したことにあった。子は何故そんなものを知っていたのだろう?そして、どんな文脈で子はその話を持ち出したんだっけ?運転しながらだったこともあって、前後をよく覚えていない。が、私も例にもれず、「活版印刷」と聞くと「活字拾い」を思い出し、自動的にジョバンニの名まえが頭の中に浮かんでくるのだ。

もう遥か昔のことになってしまうけれど(汗)、アメリカに住んでいた頃のことだ。日本に出張した父が箱入りのハードカバーの宮沢賢治の本を買ってきてくれた。当時の私の思考は、心優しいカムパネルラがいじめっ子のザネリの代わりのように死ぬあたりで、物語からかい離してしまった。どうしても気持ちが入らず読み切れなかった。日本に戻った夏に改めて手にしてみたとき、カムパネルラはジョバンニの分身だったのではないか?という気がしてきた。自分をいじめたザネリを、許す過程が描かれているのかもしれない。ジョバンニ自身の中に核が出来る過程ないしは、きっかけとなる夢というのだろうか。その後すぐに、手に入らなかった牛乳はあっさりと手に入るし、帰ってこなかったお父さんがもうじき帰って来るのだという知らせを貰う。ジョバンニの、どこかで止まっていた時間が、ゆっくりと再び動き出したような感覚。

もっとプラクティカルにいえば、自分の態度(中身、言動)が変われば、現われてくる周囲の環境も違ってくるということなのだが。あるいは、与えられた環境をそのまま受け取ってその中でやれることをやるだけしかない子どもの時代から、環境を選ぶこと、変えることさえできるような存在へと成長する過程。その一瞬の曲がり角なのだろうか。そんなことをここまで美しく、神秘的に、幻想的に深く凝縮して物語ったものを他には知らない。

大人になって知ったのだけれど、本当にたくさんの人たちがいろいろな解釈をしていて、どれもがなるほど、と唸ってしまうほど深い。また、オマージュやパロディの多さたるや。

カムパネルラが川で命を落とす場面は、宮崎駿の「となりのトトロ」でメイが沼に落ちたのではないか?と夕暮れ時に村総出で沼をさらう場面で思い出した。「千と千尋の神隠し」の一場面といえば、大海原を1本の電車が音もなく走る場面。「崖の上のポニョ」のポンポン舟でポニョと宗介が津波で出来た波のない水面を滑るように行くあの場面。大昔、自分自身夢の中で同じような体験をした気もする。他の様々な場面も、他のいろんな作品で景色のダブることが多い。人間に共通するさまざまな原風景をこれでもかというほどに描き重ねた作品なのかもしれない。

「銀河鉄道の夜」もそうだが、作者の宮沢賢治を語ることなど私には到底できない。が、作品を読むたびにかすかにぞっとするのだ。この人はいったい何者だったんだろう。これから少しずつ子も宮沢賢治の作品に触れていく年齢である。いったい何を感じ、何を考え、どのように宮沢賢治の作品をとらえていくのだろうか。母である私には永遠に知ることのできない、子の心の深いところでの話なのだろうな。


20160220_1.jpg

銀河鉄道の夜

新品価格¥2,052から(2016/2/20 16:16時点)

1982/12/17
宮沢 賢治/原作、 藤城 清治/影絵と文 講談社


藤城清治氏の影絵を初めてみたのは「ピノキオ」の挿絵だったと思う。その後、国語の教科書で再会した。影絵の表現する「銀河鉄道の夜」の世界を味わってみたくて購入。Wikipedia によると、チェコスロバキアのブラチスラヴァ国際絵本原画展「金のリンゴ賞」受賞とのこと。

「銀河鉄道の夜」の絵としては猫のキャラクターを用いて話題になったアニメ映画がとてもしっくりくる。数年前にテレビで放映していたのを録画したことがある。が、子がまったく興味を持たないため何も考えずに消去してしまった。また放映してくれると、いいな。






銀河鉄道999 Wiki → https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%80%E6%B2%B3%E9%89%84%E9%81%93999


藤城清治作品画集 → http://matome.naver.jp/odai/2127163894746818001
週刊朝日「影絵の作り方」 → http://blogs.yahoo.co.jp/lightandshadow7111/31602514.html


銀河鉄道の夜 [DVD]

新品価格¥3,082から(2016/2/20 17:31時点)




にほんブログ村 受験ブログ 中学受験終了組(本人・親)へ
にほんブログ村に参加しています!バナーをクリックしていただけると、ブログ更新の励みになります!


タグ:宮沢賢治
【児童文学の最新記事】
posted by kaho at 17:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 児童文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック